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私の背中には、お尻まで隠れる黒い大きなリュック。
6年生に、手を引かれ、目的の公園に着いた。
「さ~
皆で記念写真を
撮りますから…
順番に並んでね~」
先生の声に従い、クラスメートが次々にカメラ前に並ぶ。
「は~い!
こっち見て笑ってね!」
黒い布を被ったおじさんが、私達に手を挙げて叫ぶ。
《笑う…?》
チラッと、隣の生徒を見た。
そして、その生徒と同じように、歯を見せ笑う…顔をした。
私は写真を撮られる事に慣れてない。
どんな顔をしたら良いのか分からなかった…んだ。
その後、ジャングルジムやブランコに乗り、クラスメートを見様見真似で一緒に遊んだ。
キャーキャーと公園中に、響く声がする。
でも、私は声を上げて笑えなかった。
「は~い!
それではお昼になったので
お弁当の時間になります!
担任の先生の所に
集まりましょう!」
メガフォンから、聞こえた声を合図に、遊具からそれぞれ散らばり先生の元に走る。
私も皆の真似をして全速力で走った。
でも、それからは皆の真似が出来ない…
皆がリュックから出している、ビニールの敷物も、喉の渇きを潤す水筒も…
私のリュックには入っていなかった。
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