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私は、また俯く事しか出来ない…
そんな私に、先生が気付いて、私を呼ぶ。
トボトボ…と先生の元に歩く。
「岸川サン…?
忘れ物には
気をつけましょうね…?
しかたないから
先生のお茶をあげますね!」
そう言い、水筒からお茶を注ぐ私に差し出してくれた。
私は御礼も忘れ、そのお茶を一気に飲み干した。
『あ…!
先生ありがとう…』
空のコップを先生に渡しながら、忘れていた御礼を言う。
「いいえ…じゃ…
お弁当を食べよう!」
先生が広げた、ビニールの敷物の端っこに、私は恐る恐る座る。
大きなリュックから、母が作ってくれた、お弁当を取り出した。
《お弁当…!みんなと同じ!》
私は、踊る気持ちを押さえ、お弁当を見つめた。
両手で…蓋を開けた。
「うわ!なんだそれ~!」
隣で、もうすでにお弁当を食べていた、クラスメートの武クンが、私のお弁当を見て言ったんだ。
その声を聞いた、周りのクラスメートも、私のお弁当を覗き込む。
「うわ…変な弁当…」
「アハハ~」
「何…?うわ~!」
「ダサ~!」
あちこちから…聞き慣れない声がした。
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