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山本は続けた。
「一人の中国人被験者に、ある異変が起きた。その被験者は相部屋だった別の中国人被験者を夜、殺したそうだ。」
宮下が息を呑んだ。
「朝になり警衛の者がそれを見つけた。そしてたちまち施設中が大騒ぎになった。当然だろう。被験者が反乱を起こした事は一度だけ起こってはいたが、殺人は初めてだったのだからな。しかし、犯人たる被験者も発見された時はすでに死んでいたそうだ。」
山本は一呼吸おいて、
「手足が無かったそうだ。犯人には。どこにもな。もう一人の被験者などは肉片が落ちている程度で、どこにもいなかったそうだ。部屋に残されていたのは被験者の血ぐらいさ。」
「そんな……」
宮下は絶句した。
「君の気持ちは分かる。犯人と思われる被験者の口の周りには血が着いていたそうだ。すぐさまその被験者の解剖が始められた。」
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