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そう言ったのは免疫部門の責任者である新垣だった。山本はそれに答えた。
「確かに、あれのデータ、サンプルは全て焼却廃棄しました。」
新垣は更に追及した。
「それではなぜ、今になってあれが現れるんだ。」
「先ほども申しました通り、中国があれの資料を何らかの形で入手し、研究を継続させていたと思われます。しかし、仮に中国がこの研究を継続させていたにしろ、あれには欠点があります。」
一同が山本を見た。
「あれは常温では活動はおろか、生きることすら出来ません。したがって、感染する確率は皆無だと思われます。」
「しかし、中国が更に研究を発展させていたとしたら、どうかね。」
「正直分かりません。今の情報だけでは、そこまで詳しくは分かりません。」
川田は溜め息をついて、山本に言った。
「分からないでは困る。至急、研究員を派遣して調べさせろ。」
会議はその一言で終わりを告げた。
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