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「ミーナ!」
ミーナとビローがしばらく黙り込んでいると、どたんばたんと物凄い音がして壊れるんじゃないかというくらい勢いよく扉が開き、レイが入ってきた。
「レイ、どうしたの?」
「さっきのフレイムドラゴンが!」
「フレイが?」
「あら、フレイって名前付けたの?じゃなくて!フレイムドラゴンが、脱走したわ!」
ミーナは一瞬きょとんとし、首を傾げる。
「…え?」
「フレイムドラゴンどっかいっちゃったのよ!洗濯してたら、いなくなっちゃったの!この辺りは地族の魔物もいるからあいつだけにすると食べられちゃうわよ!」
「あ、そうだね」
ミーナは立ち上がり、レイと一緒に家を出ようとした。
完全に忘れられているビローは、小さくため息をつき、立ち上がる。
「俺もさがそう。二人より三人だ」
「そうね!じゃあきて!」
レイは即答した。
ミーナとレイとビローは国境の草原にいた。
ビローは茂みの中に入り込み、フレイムドラゴンを探す。
「ん?」
茂みを掻き分けると何か尻尾のようなものが動き、ビローはとっさにそれを掴んだが、それは尻尾ではなく黄色い鱗を持つ地族の蛇だった。
ビローはそいつと目が合う。
「……」
「なにやってるの?」
レイは呆れた様子でビローに言った。
「…え?いや…」
ビローは蛇を放し、また茂みを探り始める。
レイは突っ立ったまま何もしていないミーナを見て、小さな声でつぶやいた。
「どう?気配感じる?」
「静かに」
「はいはい」
ミーナは小さな声で言って、目を閉じた。レイは軽く肩をすくめる。
ビローは茂みから顔を出し、立ち上がってレイとミーナを交互に見た。
突然がさがさという音が茂みから聞こえ、レッドキャットが飛び出してきた。豹くらいの大きさのその猫は、赤い体毛に黒の斑点を持っている。
「ポー、聞きたいことがあるんだけど」
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