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ミーナは擦り寄ってくるポーと呼んだレッドキャットを撫でながら言った。
赤猫はミーナを見上げ、人間の言葉で喋った。
「なんでしょうか?」
「…嘘だろ、喋ったぞ」
ビローは驚いて小さくつぶやく。
「あら、魔物はたいてい喋れるわよ?…まあ、普通人間に喋りかけてはこないけどね」
レイはそんなビローを見て言った。
「このあたりでフレイムドラゴン、見なかったかな?」
ミーナはそんな二人の会話を気にする様子もせず、ポーに尋ねる。
「フレイムドラゴン…ですか。それなら、大きい死にそうなやつが茂みの奥にいますよ」
ポーはビローを睨みながら言った。心持ち鼻の頭にしわができている。
ミーナはポーをひと撫でして、あの人は敵じゃないから大丈夫、と小さくつぶやき、茂みに顔を向けた。
レイはミーナに駆け寄りしゃがんでよしよしとポーを撫で、彼女に聞き返す。
「大きい死にそうなフレイムドラゴンって?」
「よくわかりませんが、地族に襲われたようではないようなのです。フレイムドラゴンの辺りは、」
「ぎゅー!」
ポーが答えている最中に、何かの声が聞こえ、茂みから脱走したフレイムドラゴンの子供、フレイが飛び出してきた。フレイムドラゴンはそのままの勢いでミーナの肩によじ登ってきた。
「…フレイ」
「ぎゅー!ぎゅー!」
フレイは鳴き喚き、ミーナの肩にかかるくらいの金色の髪の毛に噛み付いて引っ張る。
「いたた」
「ぐーぐうっ!」
フレイは必死にミーナに何かを訴えかけているようだった。
ミーナはフレイを抱き上げ、茂みに入っていく。
あっという間にその場にいなくなったミーナの後を追いながら、レイは肩をすくめてビローに言った。
「ミーナって物静かそうに見えるでしょ?でも結構行動的なのよ」
「…そうなのか」
ビローにしては特にそんなこと聞いていないしそんなこと言っている場合じゃないだろ、と思ったが、黙っておくことにした。
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