第一章:四つの国の境にある村

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「ふぅ…」 ビローは行儀悪くソファに横になり、古代文字の辞書(ミーナの父親の書斎にあった)を片手に書籍を眺めていた。なんとなくだが辞書のおかげでわかってきた。 三つの秘宝。 四方の国に、秘宝と剣はあるはずだ。 しかし、どれがどこにあるかまでは印されていなかった。もっとも詳しく書いてある本が、激しい虫喰いだし。 「まったく…先が思いやられる…」 ビローが額に左腕を乗せてつぶやくと、突然腹の上に何かが落ちて来たような小さな衝撃をうけた。 「…ん?…フレイか…」 ビローが顔を上げると、フレイがお腹の上に乗って自分を見つめている。 「ねえビロー」 「どうした?」 「ミーナが、ビローにおはなしがあるって」 「話…?」 ビローはフレイを抱き上げて起き上がり、机に書籍を置いた。フレイのたてがみをわしわしと撫でる。最初、フレイが人語を話した時は驚いたが、慣れてしまった。 「話って、なんだ?」 「さあ」 フレイはビローを見上げて言った。 ビローは机の上にフレイを乗せて、書籍を開く。 「…まずは、西に戻るか」 ビローがそうつぶやいたとき、ドアがかちゃりと開きミーナがスケッチブックを片手に入って来た。 「どうですか?」 「ああ。なんとなくはわかったよ。とりあえず、西に戻ろうと思う。王にこのことを報告しなくちゃならないしな」 ビローがいうと、ミーナは彼の向かい側に座り、やや遠慮がちに言う。 「あの…、お願いがあるんですけど…」 「なんだ?」 ビローはフレイのたてがみをぐしゃぐしゃに撫で付けながら聞き返した。 フレイはその手から逃げ出してミーナの膝に座る。 「…わたしも、"魔王の剣"を捜す旅について行くことはできないでしょうか?」
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