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「ふぅ…」
ビローは行儀悪くソファに横になり、古代文字の辞書(ミーナの父親の書斎にあった)を片手に書籍を眺めていた。なんとなくだが辞書のおかげでわかってきた。
三つの秘宝。
四方の国に、秘宝と剣はあるはずだ。
しかし、どれがどこにあるかまでは印されていなかった。もっとも詳しく書いてある本が、激しい虫喰いだし。
「まったく…先が思いやられる…」
ビローが額に左腕を乗せてつぶやくと、突然腹の上に何かが落ちて来たような小さな衝撃をうけた。
「…ん?…フレイか…」
ビローが顔を上げると、フレイがお腹の上に乗って自分を見つめている。
「ねえビロー」
「どうした?」
「ミーナが、ビローにおはなしがあるって」
「話…?」
ビローはフレイを抱き上げて起き上がり、机に書籍を置いた。フレイのたてがみをわしわしと撫でる。最初、フレイが人語を話した時は驚いたが、慣れてしまった。
「話って、なんだ?」
「さあ」
フレイはビローを見上げて言った。
ビローは机の上にフレイを乗せて、書籍を開く。
「…まずは、西に戻るか」
ビローがそうつぶやいたとき、ドアがかちゃりと開きミーナがスケッチブックを片手に入って来た。
「どうですか?」
「ああ。なんとなくはわかったよ。とりあえず、西に戻ろうと思う。王にこのことを報告しなくちゃならないしな」
ビローがいうと、ミーナは彼の向かい側に座り、やや遠慮がちに言う。
「あの…、お願いがあるんですけど…」
「なんだ?」
ビローはフレイのたてがみをぐしゃぐしゃに撫で付けながら聞き返した。
フレイはその手から逃げ出してミーナの膝に座る。
「…わたしも、"魔王の剣"を捜す旅について行くことはできないでしょうか?」
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