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しばらくビローが手持ち無沙汰にフレイのたてがみで遊んでいると、おばさんやレイ達が家から出て来た。何故だか苦笑を漏らしている。
ビローとダンテは顔を見合わせ、フレイはぼさぼさのたてがみにされたままぎゅ、と鳴いた。
「どうかしたのか?」
ビローがレイに聞くと、レイは笑ったまま言う。
「ミーナの髪の毛切りすぎちゃってさ」
「……」
「ホントはちょっとだけにしようと思ってたんだけどね、おばさんがばっさりいっちゃってね、肩にかからないくらいになっちゃったわ」
「…ミーナは?」
ビローが聞くと、レイの家の扉が開いた。
「レイ達…気合い入れすぎだよ…」
ミーナは両手で頭を押さえた格好でレイに近づく。レイは笑ったままミーナの頭を撫でた。
「でも、可愛いわよ」
「…さっきは男の子みたいだって、大爆笑してたくせに…」
ミーナは少し怒った口ぶりで言う。
「だって、ホントに男の子に見えたんだもん。可愛い男の子って感じかしら。しかも、スカートはいてるから、よけい可笑しくって…」
レイはそこまで言うと、一人で笑い転げた。
「そこまで笑うかな、普通…」
ミーナはむすっとした顔で押さえていた手を放す。
彼女の肩甲骨までかかるほどの髪の毛は、肩にかからないくらいの長さになっていた。ミーナのほんの少しの精悍さが、髪が短くなったことで強調されたのだろう。
それに切りたてでまだ長さに馴染んでいないため、よけい男の子に見えるのかも知れない。
「…髪が短くても、女の子は女の子だろう…」
ビローは小さくつぶやいた。
「……はー、お腹痛い…。さて、次は旅衣装に着替えましょう!ミーナの家に服とか荷物はあるわ」
ツボから抜け出したレイはお腹を摩りながらミーナに言う。
「…はーい」
ミーナはレイのおでこをぺしりと叩きながら一緒に自分の家に向かった。
「…男どもは、暇ですね」
「そうですね」
ビローとレダはそう言い、ぼさぼさのたてがみにされたままのフレイは寝ていた。
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