第一章:四つの国の境にある村

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「待ってたのよ!…って」 ドアを開けたのは、十代後半程の少女。少し釣り目な栗色の瞳に、黒の長い髪を後ろでおだんごに縛ってあった。 緑色の布が薄緑色の服に縫い合わされたデザインの服を着ている。腰には金髪少女のものより少し長い細身の杖。 「なーんだ、お客さんか…」 その少女はそう言うと、大声で父さんお客さんよー!と奥に向かって叫んだ。 「ごめんなさいね、騒々しくて。旅人さんかしら?」 少女がそうビローに言っていると、奥から中年の男性が出てきと彼女と同じことを言った。 「おや、旅人さんですか?」 男性は少女と同じ栗色の瞳と黒い頭髪を持っている。 「ビローと申します。西の剣士です」 「剣士さん?素敵ね!」 少女は笑顔で言った。男性は軽く頭を下げ自己紹介する。 「私は村長のダンテです。こっちは娘のレイ」 「よろしくね」 レイと呼ばれた少女は軽い口調でビローに挨拶。 「それで、なにか用ですか?こんな村に剣士さんが」 ダンテがそう尋ねると、ビローは彼を見つめて言った。 「少し聞きたいことがあるんです」 「じゃあ、立ち話もなんですから、どうぞ入ってください」ダンテはビローを家に招き入れた。 「"魔王の剣"…?」 「はい。この村に行けば何か情報を得ることができると思ったのですが…」 ビローは西と東の戦のことを説明し、そして本題の"魔王の剣"のことを尋ねた。 ダンテとレイは同じ仕草で首を傾げていた。 「"魔王の剣"が神の力を借りてできるものなら…この村にも何かヒントみたいなものがあるのかしら?」 「聞いたことないが」 ダンテが言うと、そうよねー、とレイは頷いた。 ばらく沈黙していたダンテは、ふと小さく言った。 「…ああ、そうだ」 「どしたの?」 「なにか、心当たりが?」 レイとビローがダンテに注目する。 「心当たりというか、私より神や、そういうものに詳しい人がいるんです」 「あー、そうね!父さんなんかよりも詳しいわよね!」 レイが楽しそうに言うと、ダンテは軽く彼女を睨む。 「…その人は?」 ビローは少し身を乗り出してダンテを見つめる。神に詳しい人物なら是非会って話を聞きたいものだ。 しかし、一体どんな人物なのだろうかという疑問も浮上する。今にも死にそうな老人だったらどうしたらいいだろう。 「彼女は村の少し外れに住んでいる、この村の巫女ですよ」
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