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「待ってたのよ!…って」
ドアを開けたのは、十代後半程の少女。少し釣り目な栗色の瞳に、黒の長い髪を後ろでおだんごに縛ってあった。
緑色の布が薄緑色の服に縫い合わされたデザインの服を着ている。腰には金髪少女のものより少し長い細身の杖。
「なーんだ、お客さんか…」
その少女はそう言うと、大声で父さんお客さんよー!と奥に向かって叫んだ。
「ごめんなさいね、騒々しくて。旅人さんかしら?」
少女がそうビローに言っていると、奥から中年の男性が出てきと彼女と同じことを言った。
「おや、旅人さんですか?」
男性は少女と同じ栗色の瞳と黒い頭髪を持っている。
「ビローと申します。西の剣士です」
「剣士さん?素敵ね!」
少女は笑顔で言った。男性は軽く頭を下げ自己紹介する。
「私は村長のダンテです。こっちは娘のレイ」
「よろしくね」
レイと呼ばれた少女は軽い口調でビローに挨拶。
「それで、なにか用ですか?こんな村に剣士さんが」
ダンテがそう尋ねると、ビローは彼を見つめて言った。
「少し聞きたいことがあるんです」
「じゃあ、立ち話もなんですから、どうぞ入ってください」ダンテはビローを家に招き入れた。
「"魔王の剣"…?」
「はい。この村に行けば何か情報を得ることができると思ったのですが…」
ビローは西と東の戦のことを説明し、そして本題の"魔王の剣"のことを尋ねた。
ダンテとレイは同じ仕草で首を傾げていた。
「"魔王の剣"が神の力を借りてできるものなら…この村にも何かヒントみたいなものがあるのかしら?」
「聞いたことないが」
ダンテが言うと、そうよねー、とレイは頷いた。
ばらく沈黙していたダンテは、ふと小さく言った。
「…ああ、そうだ」
「どしたの?」
「なにか、心当たりが?」
レイとビローがダンテに注目する。
「心当たりというか、私より神や、そういうものに詳しい人がいるんです」
「あー、そうね!父さんなんかよりも詳しいわよね!」
レイが楽しそうに言うと、ダンテは軽く彼女を睨む。
「…その人は?」
ビローは少し身を乗り出してダンテを見つめる。神に詳しい人物なら是非会って話を聞きたいものだ。
しかし、一体どんな人物なのだろうかという疑問も浮上する。今にも死にそうな老人だったらどうしたらいいだろう。
「彼女は村の少し外れに住んでいる、この村の巫女ですよ」
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