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「ゲームセット」
審判の声が響き渡ると同時に、俺の決勝戦進出が決まった。
二時間にも及ぶラリー戦の果てに掴んだ勝利。
だが今俺の心境では、
「だるい・眠い・帰りたい…ってか?兄さんよ。」
「お前は俺の心が読めるのか?」
「顔に書いてあるぜ。見づらいようなら俺がマジックでなぞってやろうか?」
「遠慮する。取りあえず決勝までその辺で寝てるから。」
「寝坊で棄権とかなったら俺は泣くぜ?」
「言ってろ。じゃあまた後で。」
「あっ。ちょっと待った。」
「何だよ?」
「…ぜってぇー勝つぞ!」
「…当たり前だろ?」
ニヤニヤしてる相棒に背を向けて歩きだす。
相棒とペアを組んで一年。
今回の試合で引退する先輩達に混じって、唯一二年生から出てきたペア。
実力か運かは別にしても、決勝まであがってきたのだから、当然次も勝たねばならない。
「まあ、俺なら楽勝だろうけどな。それに…」
自分に自信を持たせつつ、もう一つの要因に目を向ける。
「俺には最強の相棒がいる……」
「…けどやっぱうぜぇ…」
油断していた。
俺が試合後に相棒と離れる理由。
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