まりな

2/5
前へ
/5ページ
次へ
「ゲームセット」 審判の声が響き渡ると同時に、俺の決勝戦進出が決まった。 二時間にも及ぶラリー戦の果てに掴んだ勝利。 だが今俺の心境では、 「だるい・眠い・帰りたい…ってか?兄さんよ。」 「お前は俺の心が読めるのか?」 「顔に書いてあるぜ。見づらいようなら俺がマジックでなぞってやろうか?」 「遠慮する。取りあえず決勝までその辺で寝てるから。」 「寝坊で棄権とかなったら俺は泣くぜ?」 「言ってろ。じゃあまた後で。」 「あっ。ちょっと待った。」 「何だよ?」 「…ぜってぇー勝つぞ!」 「…当たり前だろ?」 ニヤニヤしてる相棒に背を向けて歩きだす。 相棒とペアを組んで一年。 今回の試合で引退する先輩達に混じって、唯一二年生から出てきたペア。 実力か運かは別にしても、決勝まであがってきたのだから、当然次も勝たねばならない。 「まあ、俺なら楽勝だろうけどな。それに…」 自分に自信を持たせつつ、もう一つの要因に目を向ける。 「俺には最強の相棒がいる……」 「…けどやっぱうぜぇ…」 油断していた。 俺が試合後に相棒と離れる理由。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加