オオフリ

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  ニカッと歯を出して笑うアイツが好きだ。 愛してると言ってくれるアイツが好きだ。 毎日の当たり前なことで、アイツが愛おしい。 だから、もしもアイツと言う存在が俺の前から離れていなくなってしまったら…怖くなる。 「なぁ榛名?」 「…んぁ?」 「…いや何でもねー。」 「何だよ?」 「いや、気にすんな!」 「そう言われると気になるっつーの!」 アイツにとって、俺の存在はどうなんだろ? 榛名は男女訪わずモテるし、俺の存在が消えても代わりはいくらでもいるだろう。 「準太、」 「ん?」 「好きだよ、…愛してる。」 「うん。…榛名は、俺がいなくなったらどうする?」 「なら俺もいなくなる。」 「大好きな野球、できなくなるんだぜ?」 「準太だって同じだろ?」 「まぁそうだけど、」 「なら俺は準太と一緒でいい。」 「俺、榛名の投げてる姿が好き!」 「準太がいなくちゃ意味ねーし!」 「そっか…。ならさ榛名、俺と一緒に溺れてくれますか?」 「当たり前!ってか準太じゃなきゃ嫌だし!」 「ありがと。俺も愛してるよ。」 俺のが数倍愛してるぜ。そう言うとアイツはニカッと白い歯を出して笑って見せる。 当たり前な日がいつまで続くのかは分からないけど、俺は最後まで精一杯榛名を愛するよ。 だから榛名も俺と…。 ‐終‐
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