プロローグ

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その例に漏れず、街の南口から街道を駆けてくる一人の男の子の姿があった。 手には花で編まれた髪飾りを握りしめている。 この子供が作ったのだ。 きっと得意ではなかったであろうその手作りの装飾品は、ひどく不格好なものだった。 それでもその子供は、時折その髪飾りを気遣うようにそっと握る位置をかえながら慎重に走っていた。 結果的にその行為が髪飾りの形を歪めているのだが、それに気付かない子供というのもまた微笑えましいものだった。
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