いじめられっ子を      怒らせてはいけない

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重なった2人の人間に長い包丁が突き刺さり、血が流れ出す 様子はさながらハンバーグステーキの様であった。 「今日のおかずはハンバーグにするか!」 D少年はようやく人間の言葉を吐くと、包丁を引き抜き、 服と背中の間に包丁を差し込んだ。 ちょっと暖かかったが、すぐにひんやりしてきた。 少年は2人のサイフと押入れに入っていたいくつかのゲームソフトを両手に持ち、自分が 破壊した窓から華麗に飛び出した。 満月をバックに美しく背を反りながら飛翔するD少年の頭には、殺された少女が交尾前に脱ぎ捨てたと思われるひらひらのついたパンティが輝いていた。 少年はそのまま塀をも飛び越え、家の前の道路にドシンと音をたてて着地…。 その衝撃で手に持っていたゲームソフトがこぼれおち、ガチャガチャと地面に音を立てた。 「やってやったぜ!」 不気味な笑いを浮かべていた 「俺は今!世界を救う救世主となったのだ!メシアだ!宇宙神だ!カツサンドだ!」 不細工でキモオタなD少年はついに自然界での下克上を果たした! 人間界ではキモオタから殺人鬼にランクダウンだが。 少年は夜の街中をクールに走り出した。 正義のヒーローは常にクールで冷静で、決して無闇に暴れたり叫んだりしないのだ! 彼は暗い森を疾走する狼のようでもあった。等間隔で並ぶ街灯が、少年の被っているパンティを次々と照らしていった。 走っているうちにD少年はさらににやけて来た。不気味だ。 勝ち取ったサイフの金で何を買おうか考えているのだ。 「いくら入ってるんだろうな。これで神○万○チョコを10個ぐらい買ってやるぜ!」 少年は急ブレーキをかけて停止し、死んだ安田の黒皮のサイフを拝見しようと天に掲げた。 ちなみにD少年のサイフはビニール製で、スヌーピーの絵が描いてある物だ。 サイフを月明かりに照らすという意味不明の儀式を終えたD少年は深呼吸をしてから安田のサイフを開けた。 そこにはお札が5枚入っていた 「ぶぎゃあああ!!5000円もあるじゃねえか!これならチョコどころかゲームソフトが買えちまうぜ!」 しかしよく見ると5枚のうち2枚が1000円札で3枚が 一万円札だった。 ちなみにD少年のスヌーピーのサイフの中には10円玉と5円玉が4枚ずつ、1円玉が23枚入っているだけである。
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