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「お姉ちゃん、お母様が呼んでるわよ」 黙っていても仕方ないので、サラは階段付近に立ったまま声をかけた。 それに反応してエルが振り向くと、それに倣って周りの視線がサラに向けられる。 ――あぅ……。お姉ちゃん、よくこんな視線の中にいられるわね……。 思わず後退りしてしまうサラ。 そんな妹の様子に「クスッ」と笑みをこぼし、 「ええ。今、行くわ」 と言って、ベンチから腰を上げた。 そうすると、今まで集まっていた視線が少しずつ散っていった。 まるで止まっていた時間が動き出すように、周囲の人々が移動し始める。 「じゃあ、行きましょう」 サラの隣で、エルが微笑んで言った。
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