燃える銀と静かな赤

転校生

いつもよりも騒がしい教室の中。
晶は話の輪に加わることなく、窓の外を眺めていた。

水谷 晶(ﾐｽﾞﾀﾆ ｱｷﾗ)、１７歳。
父親がイギリス人、母親が日本人のハーフで、つい最近まではイギリスで暮らしていた。

十年以上前に両親を亡くし、それ以降は双方の実家でお世話になっていた。
しかし、今年の５月に母方の祖母が病に倒れてしまった。
急いで日本に駆けつけたものの、祖母はそのまま他界してしまい、他に跡継ぎのいない水谷家を相続する形で日本に移り住んだのだった。

以来、晶は母の実家で一人暮らしをしている。

｢だけど、一学期の終了間際に転校なんてな…。お前はどう思う？｣

前の席に座っている、晶の数少ない友人の牧野恭平(ﾏｷﾉ ｷｮｳﾍｲ)が話しかけてきた。

そう、いつもにも増して教室の中が騒がしいのは、今日、このクラスに転校生が来るという噂があるからだった。
しかも、ハーフの美少女というから、特に男子が浮き足立っている。

外を眺めていた晶は視線を前に向けて、

｢俺も似たような転校があったしな…。別になんとも思わないけど？｣

楽しげに話しているクラスメートたちを眺めながら言った。