転校生

4/8
前へ
/181ページ
次へ
「彼の名前は、水谷晶。君と同じくハーフで、2ヶ月前にイギリスから転校してきたんだ。分からない事や困った事があったら彼に聞くといい。席も隣だし、話しやすいと思う」 本人の意思確認も無しに言い切った。 そんな担任に、サラは笑顔で、 『はい、わかりました』 フランス語で答えた。 これには、クラスメートはもちろん、担任も目を丸くさせた。 イギリスから来たのだから、仮に日本語を話せなくても使うのは英語のはず。 そんな予想外に驚いたこともあるが、それを抜きにしてもフランス語では理解できない。 そんな周りの様子を気にすることなく、サラは言われたとおりに晶の隣の席に移動し、持っていた鞄を机の上に置いた。 『はじめまして』 再び発せられたフランス語。 しかし、今度は男性の声だった。 サラに集まっていた視線が、声の発生源に移動する。 『……はじめまして』 驚きながら、サラが返事を返した相手。 それは隣の席に座っている晶だった。 『フランス語を話せるんですか?』 『多少ね。イギリスに居たときのルームメイトがフランス人だったから』 この時、晶のサラ専属マネージャーが決定した。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

341人が本棚に入れています
本棚に追加