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「彼の名前は、水谷晶。君と同じくハーフで、2ヶ月前にイギリスから転校してきたんだ。分からない事や困った事があったら彼に聞くといい。席も隣だし、話しやすいと思う」
本人の意思確認も無しに言い切った。
そんな担任に、サラは笑顔で、
『はい、わかりました』
フランス語で答えた。
これには、クラスメートはもちろん、担任も目を丸くさせた。
イギリスから来たのだから、仮に日本語を話せなくても使うのは英語のはず。
そんな予想外に驚いたこともあるが、それを抜きにしてもフランス語では理解できない。
そんな周りの様子を気にすることなく、サラは言われたとおりに晶の隣の席に移動し、持っていた鞄を机の上に置いた。
『はじめまして』
再び発せられたフランス語。
しかし、今度は男性の声だった。
サラに集まっていた視線が、声の発生源に移動する。
『……はじめまして』
驚きながら、サラが返事を返した相手。
それは隣の席に座っている晶だった。
『フランス語を話せるんですか?』
『多少ね。イギリスに居たときのルームメイトがフランス人だったから』
この時、晶のサラ専属マネージャーが決定した。
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