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日本に元々興味のあったサラは、移り住むことが決まってからすぐに情報誌を集めだした。
どんな場所で、どんな物があるのか一刻も早く知りたかったのだ。
その中に、彼女の興味を特に引く物があったのだという。
それが、
「甘味処……巴堂?」
案内するはずの晶が、逆に引っ張られて来た場所。
それは和菓子を中心に扱う喫茶店だった。
「はいっ、ここです。お婆ちゃんからも聞いたし、雑誌にも大きく宣伝してたんですよ!」
「この店を?」
「違いますよ。アンミツです」
立ち止まっている晶の背中を押すようにして店の中に入る。
案内されるまま席に着くと、すかさず注文をする。
「アンミツを2つください」
綺麗な日本語で。
「……あのさ」
「はい? なんですか?」
「最初と随分イメージが変わってるんだけど……」
「そうですか? きっと、始めは緊張してたからですよ」
綺麗というより可愛らしい笑顔で話すサラ。
明らかにさっきまでとは雰囲気が違う。
「というか、水谷さんって私と会ったことありません?」
「俺が? ……いや、それはないと思うけど」
「例えばイギリスにいた時とか」
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