プロローグ

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窓が一つもなく、電灯も消された部屋の中。 周りが何も見えない暗闇の中で、少年は一人佇んでいた。 ――ヒュンッ 何かが風を切る音が、静まり返っていた室内に響いた。 それは、壁一面に仕掛けられたボーガンから放たれた矢の音。 一斉に放たれた矢が一直線に少年に向かっていく。 見えていても避けられそうにないその矢を、少年は暗闇の世界の中ですべて防いでいく。 体を反らして矢をかわし、右手に持ったナイフで切り払う。 その動きに合わせ、少年が移動する所に矢が放たれていく。 少年が立っている位置を把握し、縦横無尽に放たれる矢の雨。 その矢先には剥き出しの刃が輝き、たった一度でも、命中すれば命を落としかねない。 しかし少年は息を切らすことさえなく、降りかかる矢を打ち落としていく。 数十分後、再び室内に静寂が訪れた。 大量の残骸が足元に散らばる中、少年の息遣いはわずかに早くなっていた。
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