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一瞬の間に、母親が
「どうぞ座って下さいな」
お茶をテーブルに置きながら、穏やかに話す。
私は雅のほうを伺い、目を合わせる事で、座る事を確かめる。
優しく立ち上がる緑茶の香りに、少しの緊張を許して
「明日は三井家との見合いの予定でしたが」
雅は静かに話し始める。
思わず飲み込む息。それが私だけではない事は、わかっていた。
雅が再び口を開き、言葉を発する、その瞬間に
ピンポーン
訪問者が…雅の言葉を遮った。
2つの小さなため息と同時に、母親が
「つばき、出てくれる?」
目配せをする。
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