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雅の質問に答えなかった私に
「急ぎたいのは俺だけか…」
ため息まじりに呟く。
私は罪悪感を感じ
「明日、行こう?」
私の言葉でUターンした車は、すぐに家についた。
雅は何も話さない。
駐車場で
「…怒った?」
横顔しか見えない。
―今日入籍だなんて、急すぎて…
「いや、俺こそ、ごめん」
雅はそう言うと、車を降りた。私も慌てて降り、雅のあとを追う。
―やっぱ怒ってる
歩くのが早い…
エレベーター前でも、中へ入っても無言のままの雅。表情もわからないままで、私は少しずつ不安になる。
「あ…今夜、何作ろうかぁ?」
部屋の鍵を開ける雅に聞く。
「聞くほどレパートリーないだろ?」
「そんな言い方っ」
最後まで言い終わる前に、私は腕を部屋へ引っ張られた。
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