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両頬を包む雅の顔は、優しく緩み、再び近づく雅の整った顔。
「もう…いいよな」
雅がキスの後に呟く。
「ん…?」
雅の言葉に、まだ玄関先にいる事に、改めて気づいた。
リビングに行こうと背中に回した腕をほどこうとした時、私の両頬にあった雅の手が離れる。
―じゃ…ご飯でも…
少し気分的に余裕ができ、心臓の動きをその間に落ち着かせようとした。
「っ!ひゃっ」
視界が一気に変わる。
この年にして、初めてされる『お姫様抱っこ』。
「み、雅!私、歩いて行けるし…!」
「ご飯の前に欲しいものがある」
「…へ」
私を軽々しく抱えた雅は、ずんずん雅の寝室にむかう。
「あ、いや、あの…」
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