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なかなか離れようとしない雅に
「あっち行ってよ~」
「なんで?」
「それ、着るから」
「いいよ」
バスローブ近くに、ゆっくり座る雅に、驚いて
「み、見なくていいって!」
「もう見てるし」
布団から手を出して、雅に出るように動かしていた。恥ずかしい言葉も、さらり言ってのけた雅は、
「着せてあげようか?」
布団から出ている私の手をとった。
そして顔を近づけ、手の甲をペロっと舐める。
勢いよく、手をひくと、意外に雅の手から、するりと抜けた。
「もうすぐ出来上がるから、起きてきて」
雅の表情は、リビングからの明かりで、さっきからわかっていた。
またあのいたずらな顔を残し、私の前から去った。
―振り回されてる!!
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