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三井の背中を見送るつばきは
「さて、と」
車を発進する前に、携帯がなる。
着信画面は、倫子。
「どうしましたか?」
車を停めたまま、電話に出る。
『店長~っ!研修レポート、来週末まで提出期限、伸ばしてもらえませんか?』
つばきは
「理由を言いなさい」
店長として、そして4人を知る第3者として、尋ねる。
半年の海外研修は、倫子の希望だったから、なおさら理由をはっきり聞く必要があった。
『え…あの、本当は電話でなくて会って言いたいんですが…』
少し躊躇った倫子の律儀な性格がみえる。
つばきは、少し微笑みながら、続きを待つ。
『ずっと前に話していた彼と戻る事になりまして…急に今日は挨拶に行く事に…』
「そっかぁ。それはいい事と私は喜んでいいのかな?」
挨拶に行く、という言葉から、緊張も伝わる倫子は、わかりやすい。
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