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私の携帯だった。
着信画面は…母親。
「はい」
『あ、深雪。今、雅くんは近くにいる?』
「いないけど」
椅子に腰掛け、母親の意図を探る。
「…何?」
『父さん、仕事で今週末、アメリカに行く事になってね。お母さん、ついていくから』
―……えぇ!!
「何言ってんの、雅のご両親に会わずにアメリカに行くって事?!」
声が大きくなったのは言うまでもない。
―雅に、雅の両親に失礼すぎるし、今週末って、あと2日しかない!
『雅くんにも話してなかったけど、実はもう会って話をしてるのよ~』
「……」
絶句とは、まさにこの時の事を言うのだろう。
その時、雅が洗面所から髪をタオルで拭きながら、出てきた。
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