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アスファルトに倒れ込んだ二人は、しばらくの間、動かなかった。
まぁ、少女が上に乗っていて悠紀は動きたくとも動けなかったのだが…。
「…ッ!! あっ…」
少女は頬を朱く染め、悠紀の上から飛びのいた。
「大丈夫だった?」
悠紀も少女を助けようとしてやった事だったが、次第に恥ずかしくなってきた。
「えっ…! あ、大丈夫です。 ありがとうございました。」
悠紀は、しげしげと少女を見つめた。目鼻立ちも整っていて、へたをすれば、そこらにいる芸能人よりも可愛いかもしれない。
「…」
「…」
二人の間に、妙な沈黙が続いた。
「あ、あの…」
「あ、あのさ…」
悠紀と少女の声がユニゾンした。悠紀は、また恥ずかしくなり下を向いて少女に続きを促した。
「あの…、その制服…、新渡南(しんとみなみ)高のですよね?」
「うん、そうだよ。」
悠紀は、なぜそんな分かり切った事を聞くのだろうと不思議に思った。
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