お客様 私はあなたが大嫌いです

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「陽菜ちゃんおはよ!」 「陽菜の髪型可愛いね~」 「今度俺らと遊ぼうよひぃちゃん!!」 学校へ行けばあたしたちの周りに集まってくる人、人、人。 陽菜は愛想よくて可愛くて誰とでもすぐ仲良くなれるから友達も多く交遊関係も広い。 まぁ、言うまでもなくあたしはその真逆だけど。 陽菜は髪型もメイクもあたしと同じにしたがるから、余計あたしと陽菜の中身のギャップに『見た目は同じなのにね』って。 小さい頃から言われ続けてきたもんだからもうなんとも思わない。考えるだけ疲れる。 「朔夜ちゃん 今日陽菜K高の友達と遊んで帰るね。朔夜ちゃんはバイト?」 席に着くあたしの目の前に立って顔を覗き込んできた。 「うん」 「何時から何時まで?」 「20時~1時」 「うわ!!勤労少女だ」 「…うざ」 「嘘うそー!!朔夜ちゃん変な男につかまんないでね」 目の前には同じ顔と自分と色違いのシュシュで髪を結った女の子がいる。 これが、鏡だったらあたしは上手に笑えてるのに。 「陽菜こそ気を付けなよ」 「陽菜は大丈夫ッ!!」 陽菜はそういうと笑顔で友達の輪の中に戻っていった。 「陽菜 誰と話してたの?」 「朔夜ちゃん!!」 「あぁ 柚木姉」 周りから聞こえる声が大嫌い。
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