お客様 私はあなたが大嫌いです

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「柚木ちゃん!!バイト終わり!?」 コンビニを出るとさっき出ていったはずのあの男が立っていた。 何故またあたしの前に現れたのか、一瞬気になりはしたけれど、目を合わせずに一切無視して歩いていく。 「ちょ…柚木ちゃんってば!!」 強くはないけれど男がいきなりあたしのカバンを引っ張ったからカバンが落ち中身が全部ひっくり返ってしまった。 「ぎゃ───!!!本ッ当にごめん!!」 本当に こいつはあたしのこと苛立たせたいみたい。 あたしは無言で落ちたものを拾って元通りカバンの中に片付けていく。 もう いい加減うざい。 「柚木…朔夜ちゃん?」 急に名前を呼ばれ、顔をあげると男はあたしの落ちた学生証を持っていた。 「触らないで」 取り返そうと手を伸ばすと学生証を持った手をわざとあたしから遠ざけて男は自身を指差した。 「俺 哉崎 全(カナサキゼン)!!」 プレートに刻まれた『ゼン アユミ』の文字がよぎった。 「だから 何?」 鬱陶しい。 あたしは、自分に必要ないことは考えたくない。 「俺のこと知らない?」
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