お客様 私はあなたが大嫌いです

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「…朔夜ちゃん 今日は一段と機嫌悪いね?」 「バイト疲れかな…」 昨日は無性にイライラしてなかなか寝付けなかった。 体のだるさと消化しきれないあの男とのやりとりがあたしの機嫌を悪くしていく。 「昨日K高の人とカラオケ行ったらね、中学んときの友達に偶然会ってさ!!合流して12人で遊んだのー」 朝、学校まで陽菜は楽しそうに昨日あったことを話してくれる。その姿はまるで自分自身のようで、たまに陽菜とあたしを重ねてみる。 「陽菜は毎日楽しそうだね」 「うん!!楽しいよ!!」 あたしが最後に楽しいって心から思った日はいつだったかな。そんな日は、あったっけ? 今日の陽菜は一段と可愛く見える。…きっとあたしがいつもより落ち込んでるから。 教室へ着くとすぐに友達に囲まれる陽菜。睡眠不足のあたしは急に眠気に襲われ、自分の席に着いて机に伏せた。 寝て起きたら、学校終わってればいいのに。 そんなことを願いながら目をつぶる。 にぎやかな教室中には楽しそうな笑い声と話し声が響き渡って、飛び交う様々なトーンに興味のないあたしには、面白味のない眠くなるようなラジオやテレビを聞いて寝てしまうような感覚。 少しずつ、でも確かに声がだんだんと遠くなって眠りへといざなわれていく。 「柚木 朔夜!」   あれだけ賑やかな教室でも真っ直ぐあたしに届いた声に、目が覚めた。
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