~BRIDGE~

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~BRIDGE~

街外れのスラム街。 ボロアパートや、小さな家がひしめき合っているその一角に、赤茶けた屋根の貧しい家が一軒ある。 寝室の扉をノックする音で、男は浅い眠りから覚めた。 扉の向こうから現れたのは、美しい娘である。 どこか儚げな雰囲気を漂わせた透明な肌の色に、赤い髪がよく映えている少女。 彼女は、口元で微かに微笑むと、男に一通の封筒を差し出した。 …手紙である。 男はすぐに、娘を退室させ、誰にも見られないように1人きりになると、静かに手紙の封を切った。 男はとても慎重だった。 彼の名はエドワード・フェニックス。 世に“神の力を持つ”と言わしめている男…。 この一度きりのチャンスに、全てを懸けて挑まねばならない。 失敗は許されない。 例えどんな邪魔が入ろうとも、だ。 仄かなランプの光が手元を柔らかく照らしだし、簡潔に記された文章1つ1つを浮かび上がらせる。 エドワードは、とても丁寧にそれらを読んだ。 一字一句間違わぬように…。
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