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そしてその時、私は頭の中に、生まれて初めて神の声というものを聞きました。
いや、声というよりも、ほぼイメージに近かったかもしれません。
そしてその声は私にこう言ったのです。
“我はお前に3つの力を授ける。
ひとつに、我の声を聞き、人々に伝えてゆく力。
ひとつに、それを飲めばどんな病気でも治癒し、どんな願いでも叶えることのできる、聖水を生み出す力。
最後のひとつに、何マイル先のことであろうと、何でも見通してしまう力”」
エドワードがそこまで語ると、その場に居た観衆達は、皆口々に畏怖の念を唱え始めた。
エドワードは更に続ける。
「“お前は我の与えしこれらの神通力を、世の為に、そして人の為になるように使え。
決して卑しき想いに駆られて、悪しき行いに使ってはならない。
お前の力は、必ずや善き者を見いだし、そうでない者の心を見破ることを可能にするだろう”」
その言葉を聞いて、“そうでない者”の部類に属するのであろう者達が、あからさまに震え上がるのが分かった。
エドワードはそれに気付いたのか、次に皆を安堵させる言葉をかけてみせた。
「私はここに居る皆様に、大変感謝しているのです。
私は幼い頃、よく友人に馬鹿にされました。
彼らは私を気味悪がったり、嘘つきだと言ってからかったりしたのです。
しかし、ここに居る皆様は違いました。
私のことを心から信用してくれた。
私はそれが本当に嬉しくてならないのです」
もはや涙を浮かべんばかりに、エドワードはその声を震わせて感謝の意を伝えた。
なんという役者か…。
そこら辺の大根役者よりも、この男は数倍も役者だった。
観衆の1人が、「エドワードさん!あなたは我々を良い方へと導いてくれたんだ。信じないわけがない!」と声を張り上げると、その興奮は次々に飛び火した。
「そうだそうだ!エドワードこそ神の代弁者だ!!」
誰もが口々にそんなことを叫び出し、その場は収まることを知らないらしかった。
大合唱が修道院の高い天井に導びかれていき、跳ね返されて再び地上に降り注ぐ。
「だったら今、何マイルも先のことを透視してみろってんだよ」
私の隣で、今までエドワードの独演会に黙って参加していたギルバートが呟いた。
私は久し振りに彼の存在を思い出して、ふと考えついた。
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