第8章の2

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あのペテン師に用が済んだら、彼はまた居なくなるのだと、どうして私は気付かなかったのだろう。 あの愉快で、歳の離れた友人は、いつまでもここに居るような、そんな気がしていた。 私は何故ギルバートの部屋が、いつもこんなに簡素なのかと、1人疑問に感じていたが、それはいつでも出て行けるようにする為だったのだ。 私は、何もかも無くなって、終わってしまって、本当に虚しい気持ちになっていた。 そして、何気なく裏返したカードの裏面に、ギルバート・ライアンの最後のメッセージを私は読み取ったのだ。 《FIND OUT “JOKER”(“ジョーカー”を探して)》 ………何のこっちゃ分からない。 しかし、それが“真実”だとでも、彼はまた笑って言うのだろうか。
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