負け犬魂

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数日後、鳥取県倉吉市にある池上のショップ、「Tottori RーZONE」…。 池上は、一人で店の周りの雪かきをする。 「店としては来月から正式にオープンやから、出来るところまでやらないと。」 従業員より先に鳥取でショップの開業準備に取りかかる池上…。 そこにスーツを着た2人の男がやってくる。 「良ければ、我々もお手伝いさせていただきます。」 男たちは、雪かきスコップを持って、池上と店の周りの雪を取り払う。 「ところでおたくさんらは、何の用件や?」 池上は、スーツを着た男たちに問い詰める。 「私は智頭急行株式会社広報部の渡辺と申します。 こちらは、同じ小学校から幼馴染みで倉吉市の大山乳業で専務取締役をしている矢田野です。」 男たちは、池上に名刺を渡す。 「寒いやろうから、中に入ってくれ。」 池上は店の中に男たちを入れる。 「コーヒー入れてるから、温もってくれ。」 ホットコーヒーを用意した池上は、矢田野と渡辺にコーヒーを差し出し、ソファーに座る。 「実は私たち、幼馴染み同士でD1GPに出た事がありました。しかし我々は常に予選で敗退し、 そしてレギュレーションが変わり、世間の目が気になり、数年前に参戦を断念したのです。その時、御社のホームページにD1参戦の話があったので、お声をかけさせて頂きました。」 矢田野が池上にここに来た理由を説明する。 「言っておくがドライバーは決まってるで。」 池上が矢田野に一言を言う。 「いえいえ。我々は、スポンサーにしてくださいという話で来ました。知り合いにD1GPが好きで、 将来は谷口信輝みたいになると言ってた小学生がいたのです。しかし、その子は生まれつき重度の小児ガンで、9歳で他界したのです。 その事があるために、上司にスポンサーを提案したら、快諾してくれました。」
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