負け犬魂

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矢田野の言葉に池上しばらく黙りこんだ。 「お前ら、おかしいやろ?」 池上は重い口を開く。 「スポンサーとして受け入れてくれないのでしょうか?」 渡辺が池上の言葉に戸惑う。 「そういう事やない。俺が言いたいのは、そんな小さくして亡くなったガキの夢のために、そんな大金を会社の経費で使うんやない。 それがあるなら、お前らの会社のロゴをただで、目立つところに掲げて走らせたる。 スポンサー料金とか要らんから、その金を難病で苦しむガキのために使え。基金集めしとる団体あるやろ?そこに寄付せえ。俺からもカンパはする。ポケットマネーでな。」 池上は渡辺と矢田野に説教をする。 「ありがとうございます!上司にその事を報告させていただきます。」 渡辺と矢田野は涙を流して、池上にお礼をする。 「泣くな!男やろ!とりあえず、話は決まった。マシンは福岡で整備中やから、完成の時に連絡するから、待っとけ。」 池上は渡辺と矢田野に一言つげると、渡辺と矢田野から聞いた、 小児がんで亡くなった子供の家に向かう。 雪道を車で20分、池上は乗ってきたフォレスターを降りて、 歩いて小さな一軒家に向かう。 すると、白いインプレッサに向かって走って来る男がやって来る。 増本孝宗。かつて池上がホームグラウンドにしていた大阪環状線サーキットで ライバル視していた男で、かつては「浪花の湾岸マイスター」と呼ばれた男だ。
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