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ちゅうとこから、新今宮っちゅうとこまでの間や。確かその中にあいりん地区っちゅうんがあったはずやけど、ずいぶん昔の話やから、ようわからん。
手の無い人。
片目が真っ白の人。
顔の半分以上がやけどのような跡で占められている人。
髪の毛がないおばちゃん……
今考えると、そんな人と、ヤクザと、身体は丈夫やけど、なんか悪いことして逃げてきた人と、そんな人達に物を売る人と……そんなんばっかりやった。
そんなんやから、ちょっとだけ生活レベルの高い人は結婚するけど、父ちゃんみたいなパターンはあまりなかったみたいや。仕事もちゃんとしてないのに、結婚して子供生まれて…… まあ、結婚したときは、ちゃんと働いてたみたいやけどな。天王寺にある近鉄百貨店か阪神百貨店か忘れたけど、そこで鶏肉を売ってたらしい。
それから、片足が悪いのが原因か、本人がちゃんと仕事せえへんのが原因がわからんけど、西成暮らしになったらしい。
周りの同じような生活レベルのおっちゃん達は結婚なんかしてへんかったもん。多分、今どれくらい生き残ってるかしらんけど、一生、結婚なんてできへんのんやろ。
そもそも、若い女自体、あんまり見ることもなかったもんな。
西成でもパパのいたところは、怖くて普通の人は近寄らん場所やった。無法地帯なんやろな。今ではどうか知らんけどな。
今はホームレスっていうけど、まあ、普通に家の無い人がふらふらして、昼間っからいろんなとこで寝てた。
金をもったら酒を飲んで、博打をしてた。今はどうかしらんけど、道端で平気でみんな、どんぶりにサイコロを振って、金を賭けてたんや。夜はパパも何回かお父ちゃんに連れて
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