浅田剣一1

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 その後またノーヒットで後続を抑えて、歌川をセカンドに釘付けにした。  で、ようやく先制点。  フォアボールとヒットでノーアウト2・3塁。  バッターは俺。  センター後方に運び、きっちり犠牲フライ。  そこからは5連打の猛攻。一気に合わせて4点をもぎ取った。  勝った。  しかし、先制したウチのチームに緊張が走った。 『ピッチャーの清水君に代わりまして、中山君が入り、ショート…』  って、 『ショートの歌川君が、ピッチャー。1番、ピッチャー、歌川君…』  あの野郎、ピッチャーもやるのかよ。  確か、2番手は時田とかって11番付けてるヤツのはず。  ここまで来たら、ピッチャーとしての力じゃないな。  一高の中で一番勝ちに来てる選手が、歌川だったわけだ。  投球練習を見る限り、歌川は経験者だ。  先発のヤツより球が速い…や、140出てるかも。  もう、気力で投げてきてる。  油断するなよ、俺。  油断したらこの試合、  歌川によって負けちまう。
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