浅田剣一1

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 試合は、歌川の気迫溢れるピッチングで、4点止まり。  一高スタンドは、俺から5点も取らないと勝てないため、諦めモード。  だけど、アイツだけがまだ勝てると睨んで、メンバーもそれにつられて諦めていない。  やっぱり、ヤツを抑えないと勝てない。  7・8回は変化球主体で打ち取るピッチングをして、ノーヒットに抑えた。  一方攻撃も、歌川の内角攻めにやられノーヒット。  試合は9回、一高最後の攻撃。  これを抑えれば、甲子園。  だけど、ヤツが今日4回目の打席に立った。 『1番、ピッチャー、歌川君』  さすがにこれ以上打たれるワケにはいかない。  全力で、抑えてみせる。  そのために、前の回まで変化球主体で疲れないピッチングをした。  歩かせたら、楽に勝てるのはわかってる。  負けたら終わりなのもわかってる。  でも、ここで勝負する。  まあ、4点差あるからこんなワガママできるわけで、打ってくれた仲間には感謝だし、申し訳ない。  だから、協力してくれる仲間のためにも、  ヤツに、勝つ。  
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