キャンプ(前半)

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 とりあえず、状況を整理しよう。  私たちは2軍行きが決まっている。  となれば、注目度は下がる。  五月蝿い外野に邪魔されることも少なくなる。その代わり、今度は期待外れと言われ続ける。  結局、結果が求められることに変わりはない。  これからはもう少し実践に近づいていく。  ここからが、真骨頂よ。 「立花さん」  愛ちゃんが、真剣な顔をしていた。  ボールを持って。 「ちょっと、付き合ってもらえますか?」  さっきまでの、オドオドした愛ちゃんじゃない。 「私、キャッチャーじゃないけどいい?」  何か、試したいのだろう。 「ありがとうございます!」  笑顔にも、これまでのほんわかした顔はもう無い。 「試したいのが、あるんです」  プロの顔に、なっていた。  
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