591人が本棚に入れています
本棚に追加
全体練習が終わり、今日はジョグからストレッチ…と自主トレを考えていた時だった。
「歌川!」
室内練習場の入り口で、浅田が俺を呼んだ。
「ちょい、付き合え」
「そういや、決勝もお前のバットからだったもんな」
雑談しながら、トスバッティングをしていた。たまには、こうした気分転換も大事だな。
話題は、あの決勝戦。
「まあな」
浅田の犠牲フライから、4失点。
「手負いのエースじゃ、俺は抑えられねーよ」
それもある。だけど、あの時は全員が浮き足立っていた。
「まあ、あのイニングは後手後手に回っちまったからな」
積極性が大事。わかっていても、実行できるかどうか。
「なあ」
「ん?」
どうした。
「俺ホームラン打ったら何かくれ」
「はぁ!?」
いきなり話飛ばすな!
で、何だ?ホームラン?浅田が?
「だって、なかなか打席立つことも無えし」
まあ、バッティングが得意なピッチャーっているし、浅田もそのうち打つかもな。打席は少ないけど。
「まあ、そうか…」
賭けってワケじゃないけど、ホームランなんて打てたら祝ってやっても…
「…好きな女子アナのアド教えるからさ」
「乗った!」
こいつ…!
何て一押ししてくるんだ。
そんなオイシイ話、乗っちゃうだろうが。
俺も、オトコだし。
最初のコメントを投稿しよう!