キャンプ(後半)

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 全体練習が終わり、今日はジョグからストレッチ…と自主トレを考えていた時だった。 「歌川!」  室内練習場の入り口で、浅田が俺を呼んだ。 「ちょい、付き合え」 「そういや、決勝もお前のバットからだったもんな」  雑談しながら、トスバッティングをしていた。たまには、こうした気分転換も大事だな。  話題は、あの決勝戦。 「まあな」  浅田の犠牲フライから、4失点。 「手負いのエースじゃ、俺は抑えられねーよ」  それもある。だけど、あの時は全員が浮き足立っていた。 「まあ、あのイニングは後手後手に回っちまったからな」  積極性が大事。わかっていても、実行できるかどうか。 「なあ」 「ん?」  どうした。 「俺ホームラン打ったら何かくれ」 「はぁ!?」  いきなり話飛ばすな!  で、何だ?ホームラン?浅田が? 「だって、なかなか打席立つことも無えし」  まあ、バッティングが得意なピッチャーっているし、浅田もそのうち打つかもな。打席は少ないけど。 「まあ、そうか…」  賭けってワケじゃないけど、ホームランなんて打てたら祝ってやっても… 「…好きな女子アナのアド教えるからさ」 「乗った!」  こいつ…!  何て一押ししてくるんだ。  そんなオイシイ話、乗っちゃうだろうが。  俺も、オトコだし。
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