キャンプ(後半)

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「世の中はストッパーだとか何とか言ってるけどな、あいつら、良い場面でしか仕事できないんだよ」  あいつら、とはストッパーのことだろう。 「無駄にプライドばっか高いから、同点とか負けてる場面で投げさせると、点取られる」  普段はストッパーなのに、と猪瀬さんは付け加える。 「もちろん、言い分も分かる。ストッパーとしての役割を果たすために準備も万全にしてきてる。だけど、そんな毎試合ストッパーの都合良くお膳立てできるワケがない」  負け試合は、ストッパーの出番は無い。 「負けてるなら使うな。それが奴らの言い分なんだよ。わしは、そんなヤツに後ろ(ストッパー)は任せたくない」  なるほど。 「だからこそ、勝利の方程式だの継投なんてものは無い2軍は、勝つのが楽なんだよな。出す選手みんな、上を目指そうと張り切るから変なプライドが無い」  2軍は勝つのが楽って、その境地にいるのが凄い。やはり、年の功… 「私は今まで、色んなモノと戦ってきて、これからもそうだと思います。上で投げるために、私に必要なものは何だと思いますか?」  その年の功に、1軍の鍵があるかもしれない。  試合では投げないような、直球ど真ん中で尋ねた。
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