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その後、何とか後続を抑え、無死2塁のピンチをしのいだ。
「浅田」
キャッチャーの松田に話しかけられたが、何を言われるかは分かる。
「初球大事に、切り替えて、」
「勝ちに行こう」
ウチのチームの合言葉。会話の最後には「勝ちに行く」と言う。強気な野球がウチの伝統で、勝利への執念を定着していく。
そうだ、
たった一人の打撃成績を気にしてる場合じゃない。
2回以降、要注意のクリーンアップも完璧に封じ込め、俺は立ち直った。
――やっぱ意識しちゃうよな。
3回、ツーアウト。打順がトップに戻る。
『1番、ショート、歌川君』
冷静になれ、俺。
この場面、やはり長打警戒だ。
松田のサインからして、長打を打たせないよう、球種もコースも、狙いを絞らせない配球。
カウント2-1から、高めにストレート。釣り球にも反応しない。
…反応しない?
完全に見切られてるのか?
いや、その前からあんまり打席で反応が無い。
――ヤマ張ってるな。
でも、追い込まれたらそうも言ってらんないだろ。次のスライダーを内角低め――左なら8割以上空振るコースに決める。
これで終わりだ!
渾身の力で腕を振る。
決まっ…
ヤバい…!
――歌川の鋭いスイングがボールを捉えた。
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