針穴と糸先

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奈々はビール片手に、各席を回る事にした。 まずはお世話になった。 昔と変わらない美しい小田原先生と、昔よりも少しぽっちゃりしている。 思い出しながら、座る。 奈々「お久しぶりです」 草木「おお、元気だった? 今何してるんだっけ?」 小田原「あれでしょ? 小説家目指してるとか言ってなかったけ?」 奈々「はい、よく覚えていましたね?」 草木「本とか出してるの?」 奈々「いえ、まだぺーぺーなもんで」 草木「読みたいねー、靖代先生」 ビールをグビグビと飲み干した。小田原 靖代(おだわら のぶよ)は、頷(うなず)きながら、次飲むお酒を選んでいた。 酒豪で知られる小田原は、お洒落な人で講師の中では一際目立っていて。教授クラスの人間に食事に誘われることもしばしばあった。 噂好きの木戸の餌食になってたことは言うまでもない。
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