第1章 さよなら

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琢磨のマンションの前で、琢磨がスーツ姿で、母親とタクシーに乗り込むところだった。私はハッとして、 「……すみません。前のタクシー、追って、ください」 と言うと、私の乗ったタクシーは追跡を始めた。 母親と、一緒。 キチンとしたタブルスーツ。 本当に、お見合い……みたいだね……。 私はドキッとしながら、前のタクシーから目が離せなかった。 そうしてたどり着いたのは、麻布十番にある老舗の料亭だった。 琢磨たちがタクシーを降りると、そこに相手の車も到着したようで、晴れ着に身を包んだ若くてかわいらしい女性がいて、琢磨の母親は優しい笑顔で深くお辞儀をすると、琢磨と彼女も微笑み合い、やがて、料亭に入っていった。
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