『七つの大罪』

6/26
前へ
/519ページ
次へ
 街が寝静まった真夜中、敵が動いたのを察知した。  そこそこ手練れなのか気配を隠しながら動いている。  高層ビルの屋上から見下ろすオレからは丸見えなんだけどな。何か事件を起こす前に止めておくか。  屋上から飛び降り、全身で風を受けてマントが捲り上がる。  太股に装着した鞘からナイフ『月白』を引き抜いて戦闘準備万端。  高層ビルの側面を蹴って敵のところまで跳ぶ。風をきる音に敵が気付いた。  オレを見て飛び退く。衝撃を完全に吸収して着地し、敵と対峙する。     「こんな夜になにしてんだ?」      訊いて答えてくれるほど敵は優しくなかった。懐からナイフを二本抜いて構える。  特徴としては頬に十字架の刺青をした、若い兄ちゃんみたいな人だ。  ビンゴ。『七つの大罪』の関係者だ。     「フッ!」      左右からのナイフをかわし、ナイフ『月白』を突きだした。ナイフを交差させて受け止められた。  上手い具合にガードしたように敵は笑うが大きな間違いだ。だって狙って突きだしたもんな。  ちょっと押すだけで二本のナイフは崩れ散る。  左手で相手の胸ぐらを引き寄せ、足を引っ掛けて背中から押し倒す。     「ガハッ!」    
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2074人が本棚に入れています
本棚に追加