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脇に抱えられて動かない人を奪い取り、跳躍する。
巨体は揺らぐことなく仁王立ちだ。
踵落としをした感触は岩だ。踵すっげー痛いもん。バッカじゃないと叫びたいくらい痛い。
こんなに痛いのは由季の石頭に攻撃を喰らったくらいの痛さだ。
「うぅっ……」
捕まってた人がうめいた。起きないように後ろ首にチョップで気絶させる。
着地し、適当に放り投げておく。今は余計な気を使ってる暇はない。
なんせ一年近く殺したかった『七つの大罪』が目と鼻の先にいるんだからな。
「お前ハぁ?」
ノイズのような声だった。
「『雷帝』ユリから『調律者』の名をもらった者だ」
「お前ガぁそうカぁぁ」
敵の服が膨らんで破け、ゴツゴツの肌が姿を見せる。
顔は歪な彫刻、全身は山岳地帯に転がっていそうな大きな岩がくっついたような姿だった。
人の形だが、歪だ。
某ファンタジーゲームに出てくるゴーレムを実写化したら思いのほか歪だったみたいな。逆にわかりにくいか?
「ユリがぁぁ認めた存在ぃぃぃ」
『雷帝』ユリから聞いた通りだ。完全にユリに依存してやがる。
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