プロローグ

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  「犯人はお前だ」      花火事件の後、教室に戻ってきたオレに三年生になっても変わらない担任後藤に犯人扱いされた。  実に見事なビンゴだが、認めたら停学だろうな。     「そ、そんな! いきなり犯人呼ばわりするなんてあんまりだ!」      残念だが証拠は何も残ってないぜ。  中山と瀬戸内には口一杯にサラミとうまい棒を詰め込んでやったから自供してる暇はない。  今頃喉を潤すために自販機でジュースを買っているだろうな。     「中山と瀬戸内がそう言ってたぞ」     「な、なんですと!? いったいどんな手を使って!」     「喉が潤えば喋れるだろうが」      まさに盲点。完璧な計画があの二人によって崩されるとは。     「くく、そうだ。犯人はオレだ。だったらどうする? 殺すか?」      開き直ってみた。     「警察に引き渡す」     「洗脳されてやりました。真犯人は中山です。さらに真犯人を操る本当の真犯人は瀬戸内です。ボクチガイマス」     「テメェー! 友達を売る気か!?」      タイミングを見計らったように中山と瀬戸内が教室に入ってきた。  このままでは停学、最悪は退学になってしまう。使いたくなかったが、こうなったら奥の手だ。     「出たな催眠術士瀬戸内! 山内、今すぐこっちに来ればもれなくうまい棒一年分をプレゼントフォーユーだ」     「新番組『催眠術士瀬戸内君!』が始まるよ」     「裏切ったな山内ぃ――! うまい棒一年分って一日辺りの摂取量わかんねぇし、安上がりだな!?」     「瀬戸内、停学な」     「おかしいぃ――! 先生その結論に至るのはおかしい!」     「場の空気を読んだんだがな……」      さすが先生だ。また先生の生徒になれたことを誇りに思うぜ。
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