プロローグ

4/4
前へ
/519ページ
次へ
 校長の評判はあまりよくない。先生達の中には嫌ってる人も多く、後藤先生もその一人だった。  今回の一件。大半の先生達は犯人に気付いていたらしいが、気づかなかったことにしたらしい。  やり過ぎ注意と緩い警告だけして後藤先生は何もなかったようにホームルームを始めた。     「山吹、後で覚えてろよ」      捨て台詞を吐く瀬戸内との間に溝ができた気がしたから口一杯にサラミを詰め込んでやった。  後藤先生のホームルームは手抜きだがダラダラ度満点だから喉の渇きに苦しんだのは言うまでもない。     「であるから、俺に迷惑がかからないよう遅刻欠席早退はやめてくれ」      基本めんどくさがりな後藤先生の問題発言の数々。冗談だと笑うクラスメートがいるが、その人マジで言ってるから。     「以上でホームルーム終了。真っ直ぐ家に帰れよ」      一日の長い学校生活が終わり、生徒が下校を始める。  オレも瀬戸内にガミガミ言われないうちに教室を抜け出し、学校を出た。    ソメイヨシノ。日本でポピュラーな桜。その淡い紅白色の花が風で舞う。        あれから約一年経った。    失った悲しみは癒えない。      今の生活に使う顔は、無理に作った顔だ。  殆どの人、両親でさえ騙せている。      隠蔽された情報はすぐに新しい情報に埋もれた。  そうするしかなかった。  『七つの大罪』。  オレがこの命に変えても殺すべき全ての元凶。  真実は最初から隠れていたんだ。
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2074人が本棚に入れています
本棚に追加