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帰宅するなり母さんが台所から出てきた。由季慌ただしく家にあがるなり母さんに抱きつく。
「おかえり、亜紀、由季ちゃん」
「ただいまー!」
「ただいま」
「由季ちゃん勝手に外に出ちゃって、なにかあったらどうするの?」
興味がむいたものに集中して周りが見えなくなるときがある。
幼いから危険はつきものだが由季の場合はどうだろう。
本能的に危険なことには近付かないし、大鷲のファルコン加藤もいる。
特殊な存在が相手ならオレがいる。ある意味、由季は安全な立場にいる。
「ごめんなさい」
「もぉー、仕方ないわね。それじゃあ一緒にご飯の支度しよっか」
「するー!」
二人仲良く台所に行った。仲良くことは良いことだが、オレの扱い酷くない?
今に始まったことじゃないからいいけど。
階段をのぼって自室に荷物を置き、屋上にのぼる。
この家は周りの住宅とは違い丘っぽくなっていて空を一望出来る。ここなら何をしていても見られる心配はない。
置きっぱなしの木刀を手に取り、まずは上段の構えから下段に降りおろす。
伊織さんがいなくても毎日訓練はかかすことなく続けている。
オレはまだまだ弱い。
弱いから失ったんだと思っている。
だから強くなりたい。強さだけを求めてるんじゃない、得た強さで守りたいだけなんだ。
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