『七つの大罪』

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 剣道における基本の構えからの振りを各千回ずつこなす。  風をきる音は聞き慣れて気にならなくなった。  基本はあくまで基本。ナイフを使うオレにしては剣道の構えはあまり意味をなさない。  ただやらないよりマシだと思いやっている。  問題はここからだ。なにぶんナイフを使った運動種目や流派を知らない。  軍隊でなら訓練をやっていそうだが、戦闘レベルじゃない。  正直、自分にあった練習法がわからないでいた。     「むぅ――」      思わず唸ってしまう。武器の扱い方を規定した人は凄いとしかいいようがないな。  分からないときは分かりそうな人に訊くのが一番だ。  携帯を取り出し、七尾七(伊織さんの友達のハイテンションハッカー女)に「カッパの皿を叩きわる」とメール送信。     「……」      待つこと数十秒、携帯が震える。     『堪忍したってなぁー命なんやー頭の皿は命なんやー。ちなみにカッパは、頭のはげた親父を見た人が勘違いしたのが始まりであるとゆう一説があるんだよ、知ってた? どんだけ目が悪いんだろうね。あはは、笑いが止まんないよ』      カッパにそんな一説があるとはな。無駄知識を紹介する番組に送ってみるか。  とりあえずハイテンション過ぎるから返信しないでおく。  すると二通目が着た。余程暇を持て余してるとみた。     『ウ・ソ』      不覚にも騙された。もうヤダ。たて続けにもう一通きた。     『う・そ』      カタカナくらい読めるわ!  この屈辱、どう返してやろうか。そうこうしてるうちに四通目到着。     『用件はなぁに? スリーサイズ教えて欲しいかな? かな? それとも……育毛剤の相談?』      伊織さんにもバカにされたけど、そんなに髪が薄いのか? はげるのは遺伝と聞くがパチ情報だったのか。  一瞬、真剣に悩んだオレは負け組だろうか?
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