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仕方ないから一時間ほど適当に訓練した。シャワーを浴びようと二階に降りた。
携帯が震える。振動が長いから電話だろうか。誰だろうと携帯を見るとメールだった。送り主は七尾七。
受信メールが百件近く、まだ増える。二百件ほどでとまって、メールボックスを見るとタイトルが育毛剤についてだった。
しかも全部!
「お兄ちゃんご飯ー……あれーなにしてるの? お馬さん?」
「由季、お兄ちゃんははげると思うか? ザビエルやカッパみたいになると思うか?」
「? お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ?」
さすがは我が家のプリティエンジェル。全然言ってる意味を理解してないだろうが救われる。
今度ナタデココ買ってやるよ。
「お兄ちゃんご飯ー」
「そうだね。行こっか」
小さな体でピョンピョンと階段を下りていく後ろをついていく。
台所は食欲をそそる匂いがプンプンする。思わず父さんのおかずをつまみ食いして席につく。
一歩遅れてやってきた父さんは自分のおかずが微妙に少ないことに首を傾げるが、微妙過ぎて何も言えない。
食卓の話題は由季の独占だった。それに相づちをうちながら食事を済ませる。
無論、一番早くに食べおわったオレはそそくさと台所を出てシャワーを浴びに行く。
今夜は長い夜になりそうだ。
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