プロローグ

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 ふと、目を覚まして人工的に作られた闇を見渡す。遮光用のカーテンでも全ての光を遮ることはできない。だけど、自分にはその闇が心地よくて必然と口元が緩む。  温もりのある羽毛の布団はちゃんと仕事をこなしていて、主人である僕の体を全身で温めてくれる。 (心地良い) カーテンで遮られた眩しい光が隙間からこぼれてくる。ああ、朝が来やがったと僕はイライラしながら、布団に潜った。 布団独特の暗闇と温もり。それが異様に心地よくて、母親の胎内にいるようで安心して心を静まらせた。  布団の中にいつの間にか入っていた目覚まし時計を見てみると、午前八時を指していてイライラした気持ちがどんどん増えてきた。 .
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